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2017年9月

ジャンとマンサード

 

 今朝6時の気温は2度だった。さすがに寒くて首をすくめてしまう。この感じだと秋は短いな、たぶんひと月で通り過ぎて冬が来るな。そうなるといよいよ秋は慌しい。

 ずっと慌しかったのは雨続きの夏のせいもある。晴れたらやろうと思っていたことができない、先延ばしになる、諦めれば済むことだけど気がかりが残る、やらなくちゃいけないことがどんどん溜まってくる、そういうのとは別に本の仕事はまったなしで押しかけてくる、週の半分は山仕事で拘束されるし疲れも溜まってくる、大丈夫かなあと思うのだけどまあ、気がつけばどうやら苦しい時期は乗り越えたみたいだ。

 このブログだって三月もほったらかし、書きたいことはたくさんあったけど3日もすればどうでもいいことに思えてくるから忘れてしまう、ブログというのは休んでしまうと再開にものすごくエネルギー使うな。古い日付の記憶はどんどん消えてしまうからこの三月、ずいぶんいろいろあったけど新しい日付のことしか覚えていない。二つある、まず猫が来た。

 

 猫を飼うのは久しぶりだ。結婚前の独り暮らしのころから猫を飼いだして都会を離れて新しい家族が増えてもその猫は飼い続け、たしか17年生きて大往生みたいに死んでしまった。大きくて毛足の長い、気難しくて人には馴れず、でも顔や姿のきれいな猫であの猫を超える猫はいないのだからもう飼うつもりはなかったけど突然に飼うことになった。ある朝、かみさんが「猫を飼う」と宣言し、わたしが「ランちゃん(昔の猫の名前)を超える猫なら許す」と言うとさっさと車で出かけて電話をかけてきた。「大きくて毛の長い猫だよ、よく似てるよ」というので「ゲットしちゃえ」と答えた。ラブ犬との縁を作ってくれた愛護団体の譲渡会に出かけたのだ。

 かみさんが連れてきた猫は想像していた通りの姿だった、フワッフワの毛足で手足はたくましく尻尾も太い、ちょっとデブじゃないかと思ったけどそれは毛足が長いからで後姿はまるでタヌキみたいだ。ノルウェージャン・フォレストのミックスというけどネットで調べたら顔のまわりの鬣(たてがみ)のような毛はノルウェイジャンそのもの、5歳のオスで元の飼い主は熱海のおばあちゃんなのだそうだ。春に岩泉のおばあちゃんが飼っていた犬を引き取り、こんどは熱海か。でもノルウェーが産地なら寒さにはめっぽう強いだろう、我が家に着いたその瞬間にもう懐いてスリスリしてくる、「なんだこの人懐こさは」と驚いたけどそう性格の種類らしい。物怖じもしないで家中を歩き回り、かみさんが歩けばその後をずっとついて回る。爪切りもシャンプーもぜんぜん嫌がらないから拍子抜けするぐらい飼いやすい、何といっても顔がいいけどこれは主観もあるし惚れこんだ弱みもあるから写真は載せないでおきましょう。とにかく可愛いよ(笑)、名前もついていたけど呼びにくいからジャンにした、声をかければそばに来るのだから名前はどうでもいいみたい、ジャンはgian、男の子のふつうの名前だな。ちょっと小生意気な少年のイメージもあるけど5歳ならもう立派な大人の猫、長生きしてもらおう。

 先住犬も元気で夏の間はずっと涼しい縁側で飼っていた、外が良く見えるから吠えるのが仕事だと思っているダイちゃん(これは元の名前をそのまま)は気に入っているみたいだ、冬になればストーブの土間に移るけどジャンは無頓着でおおらかな性格だからすぐに仲良くなるだろう。そういえばダイちゃんは散歩のときに栗を食べる、道端にイガから弾けた栗の実が落ちていてそれをパクリとくわえて噛み割って皮は吐き出す、大きな実は前脚で押さえて器用に皮を剥いて食べる、わたしは縄文犬とひそかに呼んでいるけど、かつてのラブ犬は山桃が大好きだったのに縄文犬は桃には興味を示さない。

 

 もう一つの出来事はマンサード。遠野の村々にはほとんどの家にマンサード屋根の小屋があって屋根の形も少しずつ違うのだけど妙にお洒落で妙に可愛らしい、あれこれ聞いてみるとある時期にどの農家もこぞって建てたらしく、それが4,50年前のことらしい。一軒が建てると「ああいうの、格好いいな」と男たちが思い「オラもほしい」ということで村の大工さんに頼む、大工さんもどんどん慣れてきて注文をこなすけど隣りとまったく同じじゃつまらないから少しずつ変化をつける、といっても基本の形は同じでマンサードの特徴は屋根の勾配が二段になっていること、屋根裏部屋があること、片側に大きく張り出して軒下にトラクターとか軽トラを置けること、そこで個性を出そうとすればトタン屋根の色を変えるぐらいしかない、といっても赤や茶色、青や緑、黒やグレーが主な色でこれが茅葺屋根の多かった時代にはものすごくハイカラに見えたんじゃないのかな。

 屋根裏部屋があるというのはマンサードの実用的なところで、この小屋を建てた農家はたいていが牛を飼っているかタバコを栽培していた、広い屋根裏があれば干草をどんどん積み上げることができる、タバコの葉も乾燥させることができる、1階には牛や馬を飼う部屋があってここは床を張らなくていい、そのほかに作業部屋が2つか3つくらい、広さは20-30坪くらいだろうか、そういうマンサード屋根の小屋を去年の秋に偶然、手に入れた。借りたつもりだが持ち主はくれたつもりでいる、いずれにしても好きなだけ自由に使っていいマンサード屋根の小屋ができたのだけど最初のころはマンサードという名称があることすら知らなかった。自分が手に入れて初めてどこの家の庭にもある可愛らしい屋根の小屋だと気がついたのだがなにせ築数十年、空き家状態でずいぶん長く放置され周囲は萱が伸びて建物がそこにあることさえ知らなかった。

 小屋の周りの萱や野ばらの藪を刈った、建物の中にあったボロボロの畳やシート、いろいろなゴミを片付けた、大工さんに見てもらってどこをどう直せばいいか、まずどこから手をつければいいかを相談して錆びだらけの屋根のペンキを塗るのが最初の作業と決めた。決めたはいいが雨続きの夏でなかなかペンキを塗る日が訪れない、旧盆過ぎたころに帰省したままゴロゴロしている次男にも手伝ってもらってたった2日の晴れ間を見てペンキを塗り始めた。すぐにまた雨続き、朝は晴れてもすぐに雨雲広がる天気が続き、それでも少しずつ塗って先週にやっと全部塗り終わった。ひとまず屋根だけはピカピカになったのだけど先は長いな、まあ、のんびりやっていくしかない。

 

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 出入りの戸を直す、床を張り替える、牛小屋スペースを地ならしする、柱を補強する、やることはまだまだあるのだけれど、わたしはこの小屋のマンサードが気に入っている。塗ったばかりの赤いペンキも気に入っている。そして何より、この小屋の屋根から見える西の山の眺めが気に入っている。

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